自分の気持ちが出てこない
◆事例)
人に何か質問をされたとき、一般論としてのことならある程度答えられるのですが
自分の考えや気持ちなどを聞かれると【頭に何も浮かんでこなくて】答えることができません。
発達障害の特性にも、そういったことがあると聞いたことがあるのですが、
それ以外の特性を確認してみても自分に当てはまることはありません。
また、幼少時代からの発達の遅れは何も指摘されたことはありません。
私は私の気持ちが分からないので、どうやってこれから先を生きれば良いのでしょうか。
成育歴を確認してみると、確かに何も困ったことはなかった様子の方ですが
親子関係について振り返ってみると母親との関係にきっかけがありました。
相談者が言葉を話せるようになった頃から小学校低学年くらいまでは
母親と一緒に行動することが一番多い時期です。
一緒に遊んでもらったり、話す機会もとても多い中で、相談者の母親は
「〇〇ちゃんは、こう思ったんだよね」という語りかけを続け、
【娘に気持ちを聞くことなく、母親の考えを押し付けるような態度で】接していたことが分かりました。
つまり相談者は成長過程において
【自分の気持ちを考える機会を与えられず、親に決めてもらっていた】ということです。
思春期ごろから親と距離を置きますが、
その頃から自分の気持ちが分からないことに気付き始め、不安に思って母に相談しても
「思春期はそんなものだから」などと聞き流されていました。
本人も、いつか話せるようになるのかもしれないと思いながら学生時代には聞き役としてふるまい、
成人して社会に出たという流れです。
※親の気持ちが子供の気持ちと一緒という思い込みを持っているパターン
誰かに指摘されれば気づくことができるかもしれないが、
子育ては外との隔たりが大きいために親自身の思い込みに気付くことができない
そのため子供に考える力をつけさせることができなかった可能性が考えられる