「がんばれ」と言ってはいけない理由
一般的に、うつ病などメンタルに関わる疾患や障害になった人に「がんばれ」と言ってはいけないと言われていますよね。
特に、家族内にメンタルをわずらう人がいる場合、
「眠らせるように」「そっとしておく」「好きにさせる」など漠然とした説明を受けることはあっても、
具体的にどうなのか?なぜそうなのか?など細かいことが分からなくて
家族が戸惑い、かえって当事者の病気を悪化させてしまうこともあるのです。
ですから、支援側のOKとNGを確認し、
その理由もハッキリさせておいたほうが周囲の人たちは関わりやすいことと思います。
なぜ「がんばれ」と言ってはいけないのか、理由を説明します。
仮にうつ病になった人を例としますと、その人は【頑張りすぎた結果】病気になったのです。
その人に対して「もっと頑張れ」「今以上に頑張れ」と言いつづけたらどうなるでしょうか?
もしもこれを読むあなたが自分なりに必死で頑張っているのに、さらに頑張ることを強要されたらどんな思いになるでしょうか?
その状況を繰り返し、長い間のストレスが蓄積されて爆発したから、うつ病になったと考えられるのです。
そして、病気になって休養することになったとします。すると周囲の人たちは、当たり前ですがとても心配します。
「大丈夫?」「どうなの?」「いつ治るの?」「早く治るといいね」など心配の声がたくさん集まってきます。
本人は、【何もしたくないほど辛い状況なのに】そんなことは 周囲には分からないのです。
「何もしたくない」の「何」が周囲には分からないので、メールくらいは大丈夫だろうと思ってしまいますが、
【生きることも諦めるほど】何もできないのが現状です。
もちろんそれは、人それぞれに症状の重さが違いますし、【何ができるかも人それぞれに違います】
ある日、わけのわからない症状に襲われ、わけのわからない病気になってしまった本人が【一番辛い思いをしているのに】
周囲が「早く、早く」と回復を急かすと余計に辛くなってしまいます。
明らかに大丈夫じゃない人に「大丈夫?」と声をかけたら何と返事をすればいいのでしょうか。
【望んでそうなったわけではないのに、望んで治るなら苦労しません】
そして、対応法が分からないなどの理由で急によそよそしく避ける人も出てきます。
今までずっと仲良くしていたのに急にそっけなくなる人もいます。
病気になったことで、【孤独が始まる】と理解してください。
病と、孤独と闘う日々の人にとって、【心に寄り添う】ことは何よりの薬になります。
でも寄り添い方が分かりません。
ですからまずは【どうしてほしいか?】本人に尋ねるのが一番です。
病気が発覚したばかりの頃は重症で「放っておいてくれ」と言われるかもしれません。
それならば、放っておきましょう。【手の届く距離で】
手の届く距離とは、単純に物理的に家族の支援として大切ですが、【心の距離感覚】も大切です。
困った時に頼れる存在であること、辛い時に愚痴を聞いてくれる存在であること、
【一緒に闘ってくれる存在】であることが、患って苦しむ人たちの喜びです。
投薬治療などを続けながら、徐々に心が落ち着いてくると少しずつ要望が出てくることがあります。
応えられることには対応しましょう。
そして、生きることさえ辛い状況の中で治療を頑張れていることや、これまでの頑張りを認めてあげましょう。
誰だって、認めてもらえると嬉しいものです。
患っている時であれば、もっともっと嬉しいものです。
患った自分を責め、苦しんでいる中で【心が離れていかない安心感】があると、治療はスムーズに進むでしょう。
周囲で支える人も、とても苦しいです。
「これでいいのか」「間違っていないか」と、見えない心に触れていくのですから手を抜けるものではありません。
ですがお互いに生身の人間ですから、時には対応しきれなかったりクタクタに疲れることもあります。
その時は、ちょっと休んで代わりの誰かに頼んでしまいましょう。
焦って当然の闘いですが、時々立ち止まる方が好結果になるケースが多いと考えてください。